ペーパースカイ【完結】
振り向かず、手を振らず、私たちは離れた。

「元気でね」

「連絡してね」

そんな言葉は言うまでもないから、何も言わずに。

もう離れてしまうことに不安はなかった。

これからは、ただただ寂しさと戦うだけだ。

でも、それももう怖くない。わかったから。

合わせ鏡のように、私たちの気持ちは全く同じなんだと、わかったから。

とっくに走り去った新幹線の線路から視線を外し、ふと上を見上げると

とても濃くてきれいな青色の空が、切り取られたように覗いていた。

「……あれ?」

何かが胸をよぎる。

歩き出しながら、私はそれに心の中で目を凝らした。

「おーーーい!!あーーこちーーーん!!」

----ああ!!

そして、ぶんぶん手を振るママの笑顔を見て、やっとそれを思い出した。
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