ペーパースカイ【完結】
「輪子ちん。あたし、めっちゃしつこいかも知んないけど、も一回だけ聞いていい?」

日曜日の夕方。帰り際に苺は、私の目をじーっと見つめて、切り出した。

「ほんとーに、ほんっとーーーーーに、

陽司君と何かあったってわけじゃないんだよね?」

ほっぺたが、チークをぐりぐりぬったみたいに真ピンクに染まった、真剣な顔。

慌てた私は思わず無言で、うんうん、と素早く二度頷いた。

「本当に、大丈夫だよ。ありがとね、心配してくれて」

「あぁ~~~!!よかったぁ」

左手を胸に当てて、ニュっと両牙を出しながら苺はにっこり笑った。

「あたし、おせっかいでごめんね。でもね、もしも本当に何かがあった時は、

いつだって輪子のとこに飛んで来るからね。

絶対に、一人で悩まないでね?」

じゃあまたね!!っと、軽くスキップしてるみたいに、跳ねながら帰って行った。

…こんなに可愛げがない私なんかより、苺みたいな女の子と

つきあえばいいのに、陽司。
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