ペーパースカイ【完結】
「わかったよ~!今入れるから待ってて~~」

でもでも、せっかくいい感じになってきてるこのムード、

あたしが盛り下げるわけにはいかないよね…

こんなに盛り上がる合コンなんて、珍しいもん。

うーんうーん。どうしよう?

と。

あたしが慌てて歌う曲を探していたら、

「俺もまだ歌ってねぇ~~」

もう一個のマイクを片手に、だるそ~に喋る男の子が……。

え!?

山中君!!?

「あ?おまえはいーよ後で!!」

「よくねぇ。俺にも歌わせろよ吉元ぉ~~」

じりじりと、吉元君に近づく山中君。

「な、なんだよ山中、うっぜーなぁ。つか何歌うんだよ?」

「銀恋。んで、あの子とデュエットする」

二人のマイクでの会話のやりとりを聞いて、どっとみんなが笑う。

あたし。「あの子」ってとこで山中君に指、さされた。

「ぎんこい~??お前、どこのスナックだよここ!?

てか、苺ちゃん知らないっしょ?銀恋なんて」

「ううん、知ってる!!」

即答するあたし。

だって子供の頃から、うちのママのスナックで何百回も聴いた曲だもん。

「あ、マジで?」

初めて、山中君と目が合った。

声、かけられた。

ドキドキしながらあたし、言ってみる。

「うん!じゃあそれ、一緒に歌おう!」

「おう。歌お歌お」
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