ペーパースカイ【完結】
ソファーから立ち上がって、山中君からマイクを受け取った時、

ちょん、と手が触れた。

その瞬間、心臓がどくって動いた。

あああああ。助けて輪子!!!

今ね、今、あたしの頭の中と心の中、

「ボン!!!」

って音が鳴っちゃった。

そんでもってピンク色のパウダー、キラキラキラって降って来ちゃったよ!!

なんて単純なんだろう?呆れちゃうよね。

内心かなり動揺してたら、曲が始まった。キャー!

あたし、銀恋、ちゃんと歌えてるかな?

あたし、声とか震えてないかな?

みんなにばれてないかな?めっちゃドキドキしちゃってる事。

大丈夫かな?ばれてないかな?

山中君に、ときめいてるって事…。

拍手と口笛と歓声があがった。

あ。

いつのまにか、歌い終わったんだ。

あたし、上の空過ぎ。

「したら次、なに歌おか?」

「えっとね…これは?『居酒屋』」

「いーねいーね。んじゃ、その次これ。歌える?」

「『男と女のラブゲーム』!!歌える歌える~!!」

それからすっかり意気投合して、山中君とあたしは、ずっと隣りに座って

しゃべってた。

そんでもって、古~いデュエット曲ばっかり、二人でいっぱい歌っちゃった。

山中君は、微かに甘い香水の匂いがした。

ふいの動作でそれが香るたび、あたしはクラクラめまいがしそうだった。
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