ペーパースカイ【完結】
「名前、ナニ苺っつーの?」

「相川苺。山中君は?山中なに君?」

「俺?智樹」

なんか、すっごく沁みる。

深くて落ち着いた声。

きれいな黒髪。

手首のとこ、大きくでっぱった骨。

同い年なのに大人っぽい顔立ち。

でも、たまに笑うと、すごくかわいい、幼い目になる。

ギュって来る、ギャップ。

「山中君、彼女いないの?」

「いたら合コンとか、来ないよ」

「今までは?」

「うーん、一人だけ。半年くらい前に、自然消滅したけど。…そっちは?」

「何人かいたけど、ぜーんぶフラれたーーーー!!!」

「全敗かよ!すげ~~!!!」

あぁ、あたし。全敗して、よかった。今までの恋。

山中、智樹君。

全然、好みのタイプじゃないのに、すごいスピードで、好きになっちゃった。

すごく真面目そう。好きになった女の子の事、すごくすごく大切にしそう。

帰り際、お互いのメアドを交換した。

「また遊ぼ」

って言ってくれた。

あたしは家に帰るまでに何十回も、その言葉を頭の中でリピートした。

その間中、ずっとずっと、キラキラピンクは降り続いていた。
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