ペーパースカイ【完結】
バタンッ!!!

急に、アツシ君の部屋のドアが開いた。

私はびっくりして、アツシ君の身体の下から、ドアを開けた人をこっそりと見つめた。

…八代君だ。

彼は私とアツシ君の行為には目もくれず、どかどかと部屋に入りながら

「なーアツシ、俺のDSどこ?」

まったく普通のテンションで声をかけた。

「え?俺持ってってねーよ。塚田んとこじゃね?」

アツシ君も、もうこんなのは慣れっこ。といった様子で、言葉を返す。

………なるほどね。

今の私も有希が言うところの、

「犬がオシッコひっかける、お気に入りの電柱」

の一つなんだ、と納得した。

その時ふいにどこからか微かに、女の子のかすれた声が聞こえてきた。

「あ?あれって有希?また誰かとやってんのアイツ?」

「あー。たぶん吉岡とかじゃん」

私。

なんだか二人のその会話を聞いた瞬間、サッと気持ちが冷めてしまった。
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