ペーパースカイ【完結】
寝てないのかな?もしかして。

私の事を、心配して?

髪を乾かして、服を着て、メイクをしながら考える。

初めて男の子に言われた

「つきあってください」。

初めてデートをした映画館。

初めてつないだ手。

初めてキスをした日。

初めて抱き合った夜。

全部が初めてだらけで、私はずっと浮かれていたんだ。

そしてずっと、驕っていたんだ。きっと。たぶん。四年もの間。

携帯のワンコール。

陽司が外で車を停めて待っている、合図が鳴った。

「おはよう」

「おはよう」

こんな時でも、声が優しい。

完全に寝不足の顔で、笑ってみせる。

陽司のそういうとこ、私すごく好きだ。

「外がいい?俺の部屋がいい?」

「外がいい。どっか、ファミレスとか、マックとか」

これからデートに行くみたいな、穏やかな会話。

何事もなかったような、いつもの私達。

近所のファミレスに入った。

私はコーヒー、陽司はフルーツパフェ。

「…なんか俺、マヌケだな…」

「あはは!いいじゃん、別に。パフェ大好きでしょ?」

「うん。…でもこれから話し合う内容に、全然似合わないよな、この絵面」

「……………」
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