ペーパースカイ【完結】
プシ!っと缶を開ける音がした。

「飲み過ぎだってばだから。二日酔いになっちゃうよ?」

「いいんだも~ん♪輪子も飲みなよ。おいしーよ、このカクテル」

プシ!

「あのさ、苺」

「ん~?」

「私、こないだ有希に会いに行ったじゃん?」

「うん」

「…あれね、有希のセフレとエッチしに行くつもりで行ったんだ」

「……………」

「そんで、エッチしたの。好きでもなんでもない男の子と。

でもこんな事言ったら苺に嫌われると思って…ずっと隠しておこうと思ってたんだ」

「……………」

「……………」

しばらくの間、私達は二人とも黙っていた。

黙っているとけっこうやかましい、夜の音が聞こえてきた。

救急車やパトカーのサイレン、バイクの音、公園の木々が風に揺れる音、

どこかの犬の遠吠え……。

…カプッ!

「ひゃっ!!」

ふいに、苺が私の首を甘噛みした。

「なはよふなっはは、はじはへへもはう、はくほくへほ?」

「え?なに言ってんのか、わかんないよ!」

甘噛みをやめた苺が、「なんでわかんないのぉー?」と言いつつ、

さっきの言葉を繰り返した。

「仲良くなったら、噛じらせてもらう、約束でしょ?」

ニュッと笑う苺。

つられて笑う私。
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