ペーパースカイ【完結】
〈a〉苺:ラスト・スマイル
輪子ママに最後に会ったのは、先週の日曜日だった。
あたしには今彼氏がいて、例によって輪子の部屋で土曜日の夜、
その人のことについて、相談に乗ってもらったり、のろけてみたり、
ぼけたりつっこんだり、二人で大笑いしながら夜通ししゃべっていた。
次の日は朝からバイトだったので、ぐっすり眠っている輪子を起こさないように、
そっと部屋を出た。
「輪子ママァー」
いつもの通り、階段をおりていきながら、あたしは台所にいる輪子ママに声をかけた。
「あらっ、苺ちゃんもう帰るの?早いのねぇ」
「はい~、今日バイト朝からなんですよぉ」
台所から出てパタパタ、スリッパを鳴らしながら廊下にいるあたしのそばまで
輪子ママが寄ってきた。
「ご飯はお家で食べるの?」
「いえー、家に戻ってたら遅刻しちゃうから。コンビニでなんか買って、
バイト先で食べます~」
まー、そうなの、アラまー、と言いながら「ちょっと待っててね」。
輪子ママは
「はい、じゃあこれ。バイト先でお上がりなさいな」
でかくてまん丸いおにぎりに海苔がぐるぐる巻きつけてあるやつを、
ラップでくるんでビニール袋に入れ、持たせてくれた。
あたしには今彼氏がいて、例によって輪子の部屋で土曜日の夜、
その人のことについて、相談に乗ってもらったり、のろけてみたり、
ぼけたりつっこんだり、二人で大笑いしながら夜通ししゃべっていた。
次の日は朝からバイトだったので、ぐっすり眠っている輪子を起こさないように、
そっと部屋を出た。
「輪子ママァー」
いつもの通り、階段をおりていきながら、あたしは台所にいる輪子ママに声をかけた。
「あらっ、苺ちゃんもう帰るの?早いのねぇ」
「はい~、今日バイト朝からなんですよぉ」
台所から出てパタパタ、スリッパを鳴らしながら廊下にいるあたしのそばまで
輪子ママが寄ってきた。
「ご飯はお家で食べるの?」
「いえー、家に戻ってたら遅刻しちゃうから。コンビニでなんか買って、
バイト先で食べます~」
まー、そうなの、アラまー、と言いながら「ちょっと待っててね」。
輪子ママは
「はい、じゃあこれ。バイト先でお上がりなさいな」
でかくてまん丸いおにぎりに海苔がぐるぐる巻きつけてあるやつを、
ラップでくるんでビニール袋に入れ、持たせてくれた。