ペーパースカイ【完結】
輪子ママの料理はいつだって、なんでもかんでも豪快だ。

中一の時、輪子と知り合ってから、いったいあたしは輪子ママのご飯を

何回食べただろう?

野菜の切り方も、どすんどすん!と豪快な輪子ママのご飯。

「おいしい、おいしい!!」

っていつも頬張っていた、輪子ママのご飯。

あたしはお世辞とかがまったく言えないタイプ。

本当に本当に、輪子ママのご飯はおいしくって大好きだった。

大好きだったんだなぁ、と

輪子のすらりと華奢な手をギュッとつないだまま、改めて思っていた。

『本当に、おいしかった。』

だけど、過去形でそう思うにはあまりにも早過ぎるよ、輪子ママ。

最後に、なんと言って輪子の家を出たんだっけ?

あたしはたぶん何も特別なことのない、いつも通りの挨拶をしたと思う。

そうだ。

そして玄関のドアのところで輪子ママは、

「お仕事頑張ってね!!」

と、笑顔で見送ってくれたんだ。

あれが、最後だ。

輪子の手、震えてる。

あたしの手かな?

…どっちもかな…
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