ペーパースカイ【完結】
「苺」
輪子がつぶやく。
「…今日って、何曜日だっけ…?」
ねじれた空間の中に閉じ込められた、輪子。
「…わかんない…」
少し考えてから、同じ空間の中でつぶやいた、あたし。
「人って…人ってさ、本当に死んじゃうんだね。知らなかったよ」
あたしも。
あたしも、知らなかった。
知ってたようで、まったく全然、知らなかったよそんなこと。
もう二度と、海苔でぐるぐる巻きのでっかいおにぎり、食べれないんだね。
あたし達。
焼き場で最後のお別れの時、白い花を次々手向ける人々の中で、
輪子は真っ赤なカーネーションの大きな花束をほどき、輪子ママの体の周りに
びっしりと詰めた。
「もうすぐ、母の日だったから」
小さな声でそう言いながら、用意していたプレゼントを、最後に輪子ママの顔の近くに
そっと置いた。
輪子がつぶやく。
「…今日って、何曜日だっけ…?」
ねじれた空間の中に閉じ込められた、輪子。
「…わかんない…」
少し考えてから、同じ空間の中でつぶやいた、あたし。
「人って…人ってさ、本当に死んじゃうんだね。知らなかったよ」
あたしも。
あたしも、知らなかった。
知ってたようで、まったく全然、知らなかったよそんなこと。
もう二度と、海苔でぐるぐる巻きのでっかいおにぎり、食べれないんだね。
あたし達。
焼き場で最後のお別れの時、白い花を次々手向ける人々の中で、
輪子は真っ赤なカーネーションの大きな花束をほどき、輪子ママの体の周りに
びっしりと詰めた。
「もうすぐ、母の日だったから」
小さな声でそう言いながら、用意していたプレゼントを、最後に輪子ママの顔の近くに
そっと置いた。