ペーパースカイ【完結】
「…で、輪子さんがお母さん、だよな」

代わりに続きを言ったのは、一哉。

自然に、さらっと、冷静に。

「そう、そう」

だから私も答えた。

自然に、さらっと、冷静に。

「いいねぇそれ!!あたし、ほんとこーいう家族、欲しいもん。

お天気のいい日に、みんなでピクニックするよーな家族。

そーいうのって、すっごくハッピーじゃない???」

口元におべんとくっつけて、立ち上がりながらそう言った苺。

う~ん、と大きく伸びをした。

ニュッと笑った両牙には、ご丁寧に海苔までつけてる。

「ほらほら、苺こっち向いて。まったくアンタはいつまで経っても

チビッコなんだから」

おしぼりと鏡を苺に渡す。

「ギャッ!!あたしってばオハグロぬってるよぉ~~!!!」

ふと見ると、一哉が眩しそうに目を細めて苺を見上げている。

まるで、本当のお父さんみたいに、微笑んでる。
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