ペーパースカイ【完結】
「…小川君って…あの、前に三人でバイトの後ラーメン食べに行った子だよね?」

「そーそー」

「…仲良しの友達じゃないの?」

少なくとも、あたしの目には二人、仲良しに映ってたんだけどな…。

ピリリリッ ピリリリッ ピリリリッ

幸太の携帯が鳴った。

「…あ、俺、もー休憩終わりだわ…」

そう言って立ち上がりながら、

「別に仲良くねえよ。友達とかでもねーし」

幸太は吐き捨てるように答え、「じゃ、また後でな」と軽く右手を上げて、

立ち去って行った。

「…………」

仲良くも、友達でもないなら。

あたしは、膝に置いた飲みかけのコーヒーの飲み口をじっと見つめながら

考えていた。

なんでわざわざバイト帰りに、一緒にラーメン食べたんだろう?

だって、あの時だって。

「うちのショップ、タメなの俺ら二人しかいねーからさ。

こいつとシフトかぶると気楽だし、楽しいんだよ」

とかって、小川君の前で言ってたのになぁ…。

今日はバイト上がったら、久しぶりにデートの予定なのに、なんか。

…なんだか。

……………………………。
< 88 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop