ペーパースカイ【完結】
とりあえず、休憩の残り時間を確かめるために、あたしは携帯を開いた。

その横にくっついてるのは輪子から「形見分け」としてあたしがもらった、

輪子ママの携帯ストラップ。

その、小さな縞模様のかわいいテディベアに向かって、あたしは心の中で

つぶやいた。

なんだかわかんないけど、気が重たくなっちゃったよ、輪子ママ。

せっかく今日は久しぶりに、幸太と一緒にいられるのになぁ……。

見上げると近くの空は、かろうじて青かったけれど、

遠くにはネズミ色っぽい雲がもくもくと広がっていた。

そしてバイトが終わり、あたしは急いで服を着替えた。

まだ幸太に見せた事がない、お気に入りのワンピ。

「じゃっお先に失礼しまーーす!!」

「相川さん、早いね~。これからデート???」

同じショップの先輩に声をかけられ、思わずエヘへへへ!!と、

顔がにやけてしまった。

なんだかんだ言っても、やっぱりデートは楽しみ。

幸太は、従業員用出入り口の脇にしゃがみ込んで、煙草を吸いながら

待っていた。

「お待たせ!!」

「おぅ。お疲れー」

あたしのバッグを持ってくれながら、幸太は笑った。

機嫌、よくなったのかな。

よかった!!
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