ペーパースカイ【完結】
〈h〉輪子:プチ・プロポーズ…?
「バッカじゃないの!!?」

苺が作ってくれたお粥を食べながら、私はつい怒鳴ってしまった。

「せっかく久しぶりのデートだったのに、ドタキャンして家に来るなんて

…だいたい、お父さんもお父さんだよ!そんなメール、勝手に苺に送るなんて」

苺は、私のおでこに新しい冷えピタシートをぺとりと貼りながら、

口をとんがらかせた。

「バカって事ないじゃんか~!!輪子パパもあたしも、

輪子の事が心配だっただけだもん!!……あ、そうだ。リンゴも食べる?

食べるんなら剥くよ♪」

クラクラ。

眩暈がした。…「あの時」も、クラクラしたけど。

あーあ。

また熱、上がりそう。

苺やお父さんの言うように、確かに私はお母さんが亡くなってから、

ずいぶん精神的に参っていた。

職場に復帰して、一週間も経たないうちに熱でダウンしたのも、

お母さんの事が一番大きな原因だと、自分でも思う。

だけど。
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