ペーパースカイ【完結】
〈i〉苺:マジ・ウェディング…?
耳を、疑った。

聞き間違いかと思って、もう一度尋ねた。

「ちょっ…今、なんて?」

鏡台の前でメイク中のママ。

さっきと同じく鏡の中からあたしの目を見て、ケロッと答えた。

「だからね、ママもうすぐ結婚するから。相手の人、この家に越して来るのよ。

あんた、いたいならここに三人で住んでもいいけど、もしイヤだったら

一人暮らししなさい」

「………………」

絶句。

ってゆーのは、こういう時に使う言葉だ。

ママは、あたしに判断を任せるみたいな言い方してるけど。

絶対、あたしから「出て行く」って言わせたいだけに決まってる。

自分から「出て行け」ってのを、言いたくないんでしょ?

あたしはダテにこのヒトのムスメ、二十二年もやってないもん。

だから、わかる。

「…まぁ、ママに恋人できたのは知ってたけどさ」

今までも、何度か恋人できた事あったよね。

そんで、恋人できると全然家に帰って来なくなるもんね。

言われなくてもお見通しの、ワンパターンだもんね。

しかし、結婚するとまで言い出したのは、今回が初めてだ。
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