金色の師弟
境を挟む師弟
夜に包まれ静まり返った修練場で、風を切る音が辺りに響いた。
しかし、それも一瞬のうちに風の音に掻き消される。
続いて、修練場に生えている一際目を引く巨木に矢が突き刺さった。
その先端には、一枚の葉。
「……ふぅ」
暗闇に意識を集中していた少女は、矢の刺さる音を確認し、肩の力を抜いた。
闇に紛れることのない美しい金色の髪を高い位置で団子にし、纏めている。
真っ直ぐに標的を見据える瞳は澄んだ空色。
少女と女性の中間に差し掛かった少女の横顔は、凛々しく少年のようでもある。
その少女、名はルイ。
十六歳で王国の兵に志願し、一年で王子の近衛兵へ選抜された優秀な兵であった。