金色の師弟
慌て戸惑う姿にアデルは頬を緩めた。
微笑混じりの甘い吐息がルイの耳を掠め、恥ずかしさに身を捩る。
それがまた可愛くて、アデルは控えめな笑い声を盛らす。
耳元で楽しそうに笑うアデルの吐息が触れるたび、ルイはきつく目を閉じるのだった。
「どうした?顔が赤いぞ」
「それは……アデルさんがっ……!」
からかい混じりの口調に反論すべく顔を上げたルイは、すぐに動きを止める。
アデルが耳元に顔を近付けていたため、ルイの想像よりずっと近くにアデルの顔があった。
鼻先が触れ合う程の至近距離。
切れ長の瞳と流れるような黒髪、整った鼻筋に形のいい唇。
造形美しいアデルの顔が間近にあれば、彼に好意があろうがなかろうが息を呑む。
それは、ルイにも同じことで、彼女は固まりアデルをまじまじと見つめる。
(いつも綺麗とは思っていたけど、近くで見ると本当に……)
僅かに明らんできた空。
細い光に照らされたアデルから、ルイは目を離せなくなった。