金色の師弟
部屋を後にし廊下を歩くアデルは一人、窓の外に広がる空を見上げた。
全てを飲み込むような漆黒。
その空を、ぽつぽつと輝く星たちや一際光を放つ月が彩る。
人々が寝静まった城内は無気味な程に静まり返っており、それが尚更に夜空を美しいものにする。
いつだったか、ルイがアデルを月のようだと例えたことがある。
太陽のように燃えるような情熱はないけれど、それはただ見せていないだけ。
アデルは静かに輝く月のように、いろいろなものを見守っている。
そう言って、ルイは微笑んだ。
『俺が月なら、いつでもお前を見守ってやれるな』
アデルが返した言葉に、ルイは一瞬きょとんとしてから、眉をしかめた。
『私、そんなに危なっかしいでしょうか?まだ弓の扱いがなっていませんか?』
ルイの鈍感には、アデルも呆れを越えて苦笑した。
本当に恋愛に疎いのだと思い知らされた。