金色の師弟

それすらも可愛く見えてしまうのだから、アデルも重症である。

誇れることではないのだが、今までアデルは意図的に女を落とすことはあっても、落ちることはなかった。

それがまさか、年下の娘に惹かれるなんて。

彼をよく知る人物が知れば、驚いてしばらくは何も言えなくなるか、嘘だと笑い飛ばすかのどちらかだろう。

(ルイは……来るのか?)

不謹慎と知りながらも、アデルはそのことが気掛かりであった。

来てほしい、と願うのはアデルの我儘だ。

だが、ルイの実力は本物。

彼女が来れば心強い戦力となるのは事実だ。

「アデル」

「……!」

暗闇に包まれた廊下の奥から、軽やかな声が掛かる。

駆け足に近寄ってきた声の主を、月明かりが柔らかく照らしだした。

「ノルン?どうした、こんな時間に」

短い栗色の髪を揺らしながら近づいてきた女性、ノルンはアデルを見付けにっこりと微笑んだ。
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