金色の師弟

「まぁ、人数は多いほうがいいだろう」

「それもそうね」

メルディからの増援の真意には触れずに、アデルは軽くノルンの肩を叩いた。

そのまま両肩を掴み、くるりと身体の向きを来た道へと向ける。

「さぁ、俺たちももう寝よう。あまりふらふらして妙な噂を立てられたら堪らないからな」

「妙な噂?……私とアデルに?婚約者同士が夜に会って何が噂になるのよ」

背中を押され歩きだしたノルンはくすりと笑う。

その様子を一瞥し、アデルはため息を吐いた。

「とうとう二人が事に及んだ、なんて噂されたらお前も困るんじゃないか?」

「あぁ、そういうこと。そうね、それは厄介だわ」

月明かりのみに照らされた廊下を、二人は静かな声で会話しながら進む。

ノルンを、後ろからアデルが押して歩くという、何とも奇妙な形で。
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