金色の師弟
「貴族の娘……は、ないわよね?」
「あぁ。普通の娘だ」
貴族の娘に、真っ直ぐな者は少ない。
そもそも、アデルに近づくような娘たちはアデルの地位や容姿しか見ていないのだ。
そんな者たちが、真っ直ぐなわけがない。
ノルンは頭を回転させ、候補を探すが全くわからない。
頭を悩ますノルンに気付き、アデルは困った様子でノルンの頭を軽く叩いた。
「俺のことは放っておけ。俺はただそいつを見守るだけで満足している。それよりも、ノルン。お前は自分の恋愛をなんとかしろ」
見守るだけで満足だ、なんて殊勝な言葉がアデルから出てきたことに、ノルンは言葉を失った。
アデルなら、すぐに口説き落とすと思っていた。
いや、すでに口説き落とした後だと思っていたのに。