金色の師弟
偽りの婚約者
二日後、メルディ王国の一小隊がオネストへと到着した。
早速小隊長はエルクと作戦の確認に向かったため、ミーナへの挨拶はルイとライラの役目となった。
形式張った挨拶を終えると、ミーナはゆっくりと微笑んで王座からルイたちの元へと歩み寄る。
「貴方たちが来るということは、何か気になることがあるのですね?」
笑顔を浮かべたまま、ミーナは尋ねた。
その手は微かに震えており、不安の中で気丈に振る舞おうとしていることが、ルイにはわかってしまった。
立て膝を付いていたライラが立ち上がり、頷く。
「まだ可能性の段階だが」
「可能性を見過ごすわけにはいきませんね」
ライラの言葉に、ミーナは緩く首を振る。
そして、悲痛そうに眉をしかめルイを見下ろした。
「私はこの国の王女なのに、貴方たちを頼らないと国を守っていけません。……それが、歯痒い」
美しく歪められたミーナの表情に、ルイは言葉を見失う。
優し過ぎるミーナの胸に積もる思いは、ルイの想像を軽々と越えていくだろう。