金色の師弟

顔色一つ変えずに芯の強い瞳を二人へ向けるミーナ。

そこには、確固たる決意が燃えている。

「婚姻を結ぶ、ただそのためだけに民や貴方たちに迷惑を掛けられません」

もしも、本当にこれがデモンドの仕業だとしたら、ミーナには許すことは出来なかった。

しかし、自分が意地になり断り続けたら同じ事が続くだけ。

民が傷付き、同盟国に迷惑を掛けてしまう。

ならばいっそ、婿に迎え入れてしまったほうがいい。

近くにいたほうが、止められることも多いだろう。

(好きな相手と一緒になれないことくらい、覚悟していたじゃない)

ミーナは拳を握り締め、溢れそうになる涙を堪えた。

二人の前……特にメルディの兵である彼らの前で、涙は流したくなかった。
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