金色の師弟
イアンが、好きだ。
穏やかで心優しい彼に、気が付けば惹かれていた。
王女なのだから、国のために結婚するのは当たり前だとわかっていた。
でも、心の中でイアンと一緒に生きていく未来を夢見ていたのだ。
ルイは腕を回し、子供のように泣きじゃくるミーナの身体を抱き寄せた。
丸められた背を、そっと撫でる。
「大丈夫です、ミーナ様。私たちが力になります」
「っ、ごめん、なさい……」
気丈に振る舞っていたミーナの苦しみに触れ、ルイはまるで自分のことのように眉をしかめた。
抱き合う二人の少女を横目で見つめながら、ライラは策を巡らせていた。
デモンドの王弟を婿に迎え入れられるわけにはいかない。
オネストがデモンドを優遇すれば、三国間のバランスが崩れ同盟は崩壊し、北から攻められるだろう。
ならば、どうすべきか。
(一番いいのは、ミーナ王女がどちらかの王と結婚することだが)
どちらにしても荒れそうな先行きに、ライラは気付かれぬよう溜め息を吐いた。