金色の師弟

王座の間を後にした二人は、鮮やかな花たちの咲き誇る中庭をのんびりと歩いていた。

あてがわれた宿舎に向かう一番近い道である。

これらの花々は、ミーナが愛情を籠めて育てているという話だ。

左右を囲む花々には目もくれず、ルイは重く息を吐いた。

「ミーナ様は、イアン様を慕っているのですね……」

「ようやく気付いたのか?お前、今まで何を見てきたんだ?」

切なげに呟いた一言も、ライラが容赦なく切り捨てる。

ルイはバツが悪そうに目を逸らし、頬を膨らませた。

「……仕方ないじゃないですか。私、そういうの苦手なんです」

ライラは、長い溜め息を吐いた。

深呼吸をしているかのようにゆっくりな溜め息に、ルイは益々頬を膨らませる。

「そんなに馬鹿にしなくてもいいじゃないですか!」

「したくもなる。王女を見ていれば一目瞭然だった」

あっさりと突き放され、ルイは恨めしげにライラを見上げる。

だが、ライラはその視線を一瞥すると何食わぬ顔で前を向き足を進めた。
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