金色の師弟

アデルはルイの顎から手を離すと、慎重な手つきでルイの右腕を解放する。

「俺は誰かに好きだなんて言ったことはないな」

「知っています。ですが、今のような態度を取れば勘違いさせてしまうでしょう?」

ルイはアデルを心配し、口うるさくなるのだが、アデルはルイの心配など気にせずニヤニヤと笑う。

「勘違いしたのか?」

「私はしてません!……大体、アデルさんが私を好きなんて有り得ないです」

飄々とした態度のアデルに、ルイはため息を吐いた。

アデルから見れば、ルイはまだ小娘であり、ただの弟子。
妹のように可愛い、と言われれば素直に信じられそうなものだが、女として好意があるとは考えられない。

第一、アデルには婚約者がいる。
シェーダ王国の兵士は基本的には貴族から成り、アデルも例外ではない。
貴族であるアデルに婚約者がいることも、おかしな話ではない。

そう、だから、ルイにはアデルが自分に好意を抱いているとは考えられないのだ。
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