金色の師弟

肩に手を置いたまま、ノルンはじっとルイを見つめる。

「まだ若いわよね?それで近衛兵に選ばれるなんて凄いわ」

「そんなことないです。それも全部アデルさんの指導があってのことですから」

苦笑混じりに首を振るルイ。

ノルンはその言葉に驚いてアデルを見上げる。

「貴方、指導していたの?」

「ん?特別何かを教えたわけではないさ。こいつが自分で食らい付いてきただけのことだ」

「でも、アデルさんアドバイスくれますよね?」

「お前が手詰まりのように見えた時だけ、な」

ルイとアデルのやり取りに、ノルンは少なからず衝撃を受けた。

新人育成で弓の扱いは教えても、それ以上を語ることはしないアデル。

問われれば答えるが、自分から積極的に教えることはない。

それは、彼の技術が秀でていることに原因があるのだ。
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