金色の師弟

ノルンは頬を緩め微笑を浮かべると、ルイへ向けて手を差し出した。

「よろしくね、ルイ」

「はい、こちらこそよろしくお願いします」

身体の向きをアデルからノルンへと変えると、ルイは差し出された華奢なノルンの手を強く握った。

同様に、ノルンの温かい手が優しくルイの手を握り返す。

剣を持つものとは思えない滑らかな手に、ルイの胸が痛んだ。

アデルは普段の態度からはあまり感じさせないが、国に戻れば一貴族であり、ルイよりもずっと美しい娘に囲まれているのだろう。

それを思うと、自分の豆だらけでごつごつと堅い手が恥ずかしくなった。

ルイの努力の証であり、誇るべき不恰好な手。

しかし、年頃の少女には不釣り合いな手。

ルイは慌てて手を離すと、自分もライラを紹介しようと後ろを振り返る。

だが、傍にいると思っていたライラは、先程ルイが走りだした場所から動いていなかった。
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