金色の師弟

二人の距離感を思い出し、胸が痛む。

憧れの師匠に、素敵な婚約者がいる。

それは、本当は喜ばなければいけないことなのに。

解かれた金の髪が水面に広がる。

薄い陽の光に照らされ輝く髪は、自ら光を放っているかのようだった。

「アデルさん……」

無意識のうちに口から出てきた名前。

ルイは目を開ける。

薄闇の伸び切った空が目の前に広がっていた。

(変なの……)

あれからずっとアデルと顔が合わせられない理由も、胸の痛みも、全てがルイには不可解であった。
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