金色の師弟

戻ってきたアデルから着替えを受け取ると、ルイは再びお礼を口にした。

ルイが着替えの中からタオルを手にすると、アデルは彼女に背を向けた。

ルイは身体を拭きながら、アデルに尋ねる。

「アデルさん、どうしてここに?」

冷静に考えて、偶然に通りかかった可能性は低い。

アデルも沐浴にやってきたのか、それともルイに用事があったのか。

その問いに対するアデルの答えは、後者であった。

「お前が練習してる姿を見かけてな。なんとなく声を掛けづらくて様子を伺っていたらこんなところまで来てしまった」

「そうでしたか……」

苦笑したアデルにつられ、ルイも笑みを零した。

「普通に声を掛けてくれればよかったじゃないですか」

「……なんとなく、気まずかったんだよ」

むっとした顔でアデルは答えたが、背中を向けていたためルイにはその表情は見えていなかった。

身体を拭き終えると、ルイは着々と着替えを進める。
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