金色の師弟
「覗くつもりはなかったからな。少し離れてお前が上がるのを待っていたんだが……」
背中からアデルの困惑が伝わり、ルイは申し訳なく思い俯いた。
「助けてくださってありがとうございます」
「当たり前だろう?気にするな」
当たり前。
それはアデルのどういった心情からか。
わからないままルイは着替え終え、タオルを頭に掛けてアデルの隣へと並んだ。
アデルはルイに気付くと、タオルごと頭をくしゃくしゃと撫でた。
「ちゃんと乾かさないと体調崩すぞ」
「わっ!」
両手で頭を包まれ、ルイはふらふらと身体を揺らす。
覚束ない足元に、ルイはバランスが取れず、縋るようにアデルの手首を掴んだ。
同時に、ルイの頭には以前のアデルの言葉がよぎる。
『あまり手には触れられたくないんだ』
冷たかった一言。
慌ててルイはアデルの手を離すが、逆にアデルにその手を掴み返された。
「ん?どうした?」
「……っ」
さり気なく指を絡められ、ルイの心臓は高鳴る。
まるで子猫がじゃれ合うような触れ合いが、ルイには堪らなく嬉しい。