金色の師弟
そしてカトルは、アデルの言葉にはっとする。
ルイはアデルの弟子。
アデルがルイを可愛がっているのは誰の目にも明らかで、そんなアデルは今日メルディ王国を発つ。
国が違うため、二人はそう頻繁に会うことはない。
今回も久々の再会だったはずだ。
(もしかして、俺、水差しちゃってる!?)
師弟で気兼ね無く話したい事もあるだろう。
そんなときに、自分のような他人がいたら邪魔じゃないか。
二人の表情は楽しそうであり、決してカトルを邪魔者視などはしていない。
しかし、一度不安に思ってしまうとどのような表情をしていても関係ない。
カトルは自分が邪魔な存在に思えて仕方がなかった。
「お、俺、隊長に呼ばれてたんだった!」
声を裏返し立ち上がったカトルは、木々を潜り抜ける鷹のように、人波を擦り抜けて走り去ってしまった。
唖然とする二人。