金色の師弟
「何!?」
「止まるな、ルイ!走れ!」
続いて地面が揺れる。
足を取られ転びかけたルイの腕を、アデルが掴んだ。
「土砂崩れか」
「ご名答」
アデルもライラも、振り返らぬまま走り続ける。
ルイもアデルに引きずられるように、二人のペースに食らい付く。
「な、なんだ!?」
「崖がっ……!」
ぬかるんだ崖は脆く、規模の小さな爆発をきっかけに維持していた形を崩す。
山賊たちは、恐怖を顔中に浮かべて迫り来る土砂を見上げた。
土石流は、真下のものを平等に飲み込む。
森も、道も、人も。
悲鳴、懇願、泣き叫ぶ声が地滑りの音に混じり、飲み込まれ、消えていく。
全てを飲み込んだ土砂の叫びは、ゆっくりと雨音の中に溶けていった。