金色の師弟
常に自信に溢れているライラも、さすがに今回は冷や汗をかいた。
先程まで道だった場所は、今はもう土砂の下。
賊ごと飲み込んだ土砂は地形を変え、唯一の山道を塞いでしまった。
「賊は無事確保したし、取り調べは村に戻ってエルク様たちも交えてだな」
「あぁ。……さて、どうやって帰るか」
自分でしたこととはいえ、塞がってしまった道にライラは頭を掻いた。
「森の中を進んで山道に戻るしかありませんね」
アデルもライラも、ルイの言う以外に考えている道はなかった。
「そうだな。そうするか」
アデルは呟き、はっと自分の手に視線を落とす。
未だにルイの手を掴んだままでいた。
「……痛くはなかったか?割ときつく掴んでしまったんだが」
「は、はい……」
名残惜しいが、手を離す。
微かに俯いたルイの頬が朱に染まって見えたのは、アデルがそうであればいいと思ったからだ。
彼は、そう思うことにした。