金色の師弟
雨は一向に止む気配がない。
長時間この場に留まっていたら、爆発の影響で緩んだ崖がまた崩れてきてしまうのではないか心配だった。
アデルは隊員たちを確認する。
姿が見えない者はいなかった。
「後衛部隊、全員いるか!?」
アデルは声を張り上げる。
しばらく隊員たちは辺りを見回し、キョロキョロとお互いの顔を確認し合う。
「全員います!」
「よし」
頷くと、アデルはライラと目を合わせた。
ライラも早く撤退するのが得策だと考えていた。
「中腹に辿り着いても賊と遭遇しない場合は一時撤退と決めていた。だから、前衛もそのうち村まで戻る」
「無駄に歩かせて少し申し訳なくも思うけどな」
苦笑したアデルに、ライラは首を振った。
「仕方がない。先に行った奴らが悪い」
同情する気はないらしい。
確かに彼らが先行したことによって戦いは苦しいものとなったのだから、ライラの言い分も間違いではないのだ。