金色の師弟
それぞれ力のある三名が、それぞれの意志の下にバラバラな動きを見せる。
ライラは、二つの小瓶を男とアデルの間へと投げた。
小気味よい音が響き、瓶は割れる。
異なる二つの液体が地面で混ざり、それは化学反応を起こしどろりとした潤滑油となった。
雨に流されるだろうと考えると効果は短いが、男の足を奪うには十分なものだとライラは推測した。
ルイはベルトに装備しておいた短剣を手に取る。
そして男の攻撃を防ぐため、アデルとの間に割って入った。
ルイの位置からは、アデルが剣を手にしていることも、ライラが小瓶を投げたことも見えていなかった。
「なっ……!?」
偶然が生んだ不幸。
ライラの投げた薬品に足を取られ、ルイは転倒する。
目の前でいきなり人が転んだことで、男は危険を察し足を止めた。
そして、ルイの顔を見ると構えていた剣を振り上げた。
(注意は逸らせた……!)
ルイには転倒の理由はわからなかったが、深く考えている余裕がない。
男が自身目がけて剣を振り下ろす瞬間、ルイはむき出しになっていた木の枝を掴み森へと身体を転がらせる。