金色の師弟

剣と短剣。

単純にリーチの差でも不利であるのに、その上ルイは弓を扱う。

元より接近戦を目的として修練を積んでいないため、普通に戦えばルイが目の前の男に適うわけがなかった。

だが、咄嗟に森へと逃げ込んだことが幸いした。

「くそ!ちょこまかと……」

乱雑に生えている木々が、男に剣を使わせることを困難にさせる。

大きく振ろうとすれば、剣は木や枝に当たり勢いを奪われるのだ。

そのため、自然と男の攻撃には突きが多くなる。

攻撃方法がわかりきっていれば、ルイにとってかわすことは難しくない。

突きを避けるたびにルイは、隙をついて短剣で男の腕に深くはないが傷を付ける。

傷は大したことないだろう。

だが、男は憎々しげに眉根を寄せる。

小さな傷が増えていき、男は苛立ち始めた。
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