金色の師弟

「戻れ、ルイ!」

ルイに追い付いたアデルとライラは、彼女の姿が見えるとすぐにルイを呼び戻そうとした。

だが、ルイは応えない。

視界の端に二人を確認した時、彼らが自分を追い掛けてきたことに、ルイは少なからずの苛立ちを感じた。

(この部隊の要はあの二人なのに……)

だからこそ、ルイは自分が賊の相手になった。

ルイも一人の騎士だ。

その実力を認め、任せてほしかった。

二人には二人のやるべきことがある。

部隊を指揮し、捕獲した賊と共に安全に帰還する道を作らねばならない。

それは、他の誰でも出来ることではない。

だからせめて、誰にでも出来ることくらいは力になりたかった。
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