金色の師弟
ルイは出世欲も自己顕示欲もない。
ただ純粋にイアンの役に立ちたいという思いで動いていく。
近衛兵入りは、その結果だ。
だから自分の力を過信しないし、適わないような相手に一人で立ち向かうような無謀な真似はしない。
それが必要に迫られた場面であれば、ルイはイアンのためにと迷わず自分を犠牲にするかもしれないが。
しかし、今はそう切羽詰まった状況でもない。
ルイは、負けることはないと思っている。
多少てこずっているように見えても、相手が隙を見せれば一瞬でそこを狙う自信があった。
それなのに、二人は追い掛けてきた。
今大切なことは、ルイ一人を助けることではなくて、部隊の安全だというのに。