金色の師弟

「しまった……」

迂闊。

足元の悪さはわかっていたのに。

この時、ルイもまた冷静さを欠いていた。

彼女は珍しく、戦闘中に感情的になっていたのだ。

体勢を崩したルイへと、男も倒れながらニヤリと笑う。

男は背後の斜面に向かい倒れていく中で、長い腕を伸ばしルイの足首を掴む。

「なっ……!」

「道連れだって……言っただろ!!」

落下していくことなど気にも止めず、男は狂ったような笑い声を上げた。

ルイは足から身体を引っ張られていく。

「ルイ!!」

アデルが叫び、駆けた。

ルイも完全に体勢を崩し、男が手を離しても身体は吸い込まれるように斜面を下る。

「ルイ!手を伸ばせぇ!!」

喉が潰れるのではないかと心配になるほどの大声を上げ、アデルは手を伸ばした。

身体が半分以上落ちていく中、アデルの声のする方へと、ルイは手を伸ばした。

届かないと、わかっていながら。
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