金色の師弟

女性二人がいなくなった食堂は、重い沈黙に包まれていた。

男たちは、一向に口を開かない。

「お前たちはデモンドの差し金か?」

「……」

エルクの問いに、男は何も答えずエルクを睨む。

待っていては何も始まらない。

エルクは一歩男たちへと近づくと、自分を睨んでいる男ではなく、怯えている方へと声を掛けた。

「もしも正直に話すなら、命は助けてやる。どうする?」

怯えた男はびくりと肩を震わせ、エルクを見上げた。

その瞳からは、助けてほしいという願いが痛いほどに感じられる。

だが、男は何も言わなかった。

その様子に、ライラは再び椅子へ座ると、頬杖を付きながら言った。

「やけに口が堅い。ただの山賊ではないな」

彼らがデモンドから差し向けられた人間であることは確かだろう。

だが、たかが山賊にしては口が固すぎる。

何者かからの依頼であり、金で繋がった関係ならばあっさりと口を割るだろう。

何も言わないということは、依頼主と男たちの間には金以上の繋がりがある。

例えばそれは愛情、友情、または……忠義。
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