金色の師弟



アデルの腕の中で眠れるはずがない!

そう思っていたルイは、驚くほどあっさりと深い眠りへと落ちてしまった。

アデルに全身を預け眠るルイの姿からは、アデルを完全に信用していることが伝わる。


ルイが目を覚ましたとき、まず視界に飛び込んできたのは自分を覗き込むアデルの顔だった。

人の寝顔を覗き込むなんて悪趣味です。

そんな言葉も言えない程に、アデルは金色の瞳を優しく細めているものだから、ルイは驚いてしまった。

ルイが起きたことに気付くと、アデルはまたいつもの意地悪な笑顔を浮かべ、ルイの口元を親指で軽く拭う。

「涎を垂らすな」

「!?」

ルイは顔を真っ赤にして口元を押さえた。

その姿に、アデルはくつくつと笑う。
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