金色の師弟

ルイは恥ずかしさのあまりアデルを睨み付ける。

だが、アデルは気にした様子もなく切れ長の瞳にルイを映す。

じっと見つめられ、ルイは恥ずかしくなり目を逸らした。

(こういうところも、適わない……)

アデルの手のひらの上で転がされているようで、ルイは肩を落とした。

ルイが目を覚ましたというのに、アデルはルイの腹部に回した腕を解こうとしない。

「アデルさん……」

「どうした?」

「もう、離れても、いいんじゃないですか……」

ルイの言葉尻がだんだんと萎んでいく。

言葉にすることで、恥ずかしさが募っていったのだ。

頬を染め俯くルイが可愛くて、アデルは微笑む。

「もう少しだけ我慢してくれ」

「何故ですか……?」

ルイは口にしてから、はっと気付く。

尋ねてしまえば、アデルは楽しそうに笑って言うのだ。

「俺がお前に触れていたいんだ。……村に戻れば、もうこんなふうに触れないだろう?」

からかうような甘い言葉。

そんな言葉が返ってくることくらい、少し考えればすぐわかった。

それが本心だと知ってしまったから、ルイは逃げ道を失ってしまった。

嘘だ、なんて言えない。

昨夜の告白の後にアデルの気持ちを否定するなんて、出来なかった。
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