金色の師弟

ルイの身体を包むアデルは、ぴったりと身体をくっつけている。

しかし、きちんとルイにとって苦しくはならないように、腕の力を調節していた。

ルイの背中で響くアデルの心音。

落ち着いた顔をしているのに、その速さはルイの心音と大差ない。

離れてほしい、なんて言えなくて、ルイは俯いて黙った。

もしもアデルがこうなることを予想して告白をしたのなら、彼は本当に打算的だ。

それでも、ルイはアデルに惹かれ続ける。

それは理由なんて、必要ないほどに強く。

「大人しいな。どうした?」

白々しいアデルの態度に、ルイは頭に来て腕の中でもがいた。

「もう、からかうんなら、いい加減に離してください!!」

あっさりと拘束は解かれ、ルイは布を自分の身体へと引き寄せてアデルから離れる。

そして振り返り向かい合うと、上半身裸のアデルから目を逸らして唇を尖らせた。
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