金色の師弟

服を着て、食事を取り、二人は洞窟の外へ出る。

アデルは空を見上げ、眉をしかめた。

「くそ……曇りか……」

太陽から方角を求めようとしていたのだが、それは不可能だった。

ルイも悔しそうに空を見上げ、ふと、アデルの背中に弓がないことに気付く。

「アデルさん、弓はどうしたのですか?」

ルイに尋ねられ、アデルは軽くなった背中を一瞥する。

少しだけ間を空けて、彼はあっさりとした口調で言った。

「無くした」

「は、はい!?」

それはアデルが普段から愛用している弓であることくらい、ルイも知っている。

常に弦は弛みなく、握りはいつ見ても綺麗に張られていた。

手入れを怠ることがないということは騎士としては当たり前だが、アデルはそれ以上に弓そのものを大切にしていた。
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