金色の師弟

ルイは、はっと口を閉ざす。

アデルを非難するより先に、何故アデルが弓を無くしたかを考えねばいけないような気がした。

理由があるなら、おそらく一つ。

ルイは真っ青な顔で、アデルを見上げた。

「私のせい……ですか?」

自分を探している最中に無くした。

それ以外考えられず、ルイは震える声で尋ねた。

泣きだしそうなルイへと、アデルは困ったように笑い、頭を軽く撫でる。

「違う。そろそろ頃合いだったということだろうよ」

「頃合い……?」

アデルは頷き、ルイの手を取ると歩きだした。

さりげなくだがしっかりと掴まれた手に、ルイはどこか哀しくなる。

この程度のことは、アデルにとっては当然のこと。

アデルは、例えここにいるのがルイでなくても、同じように手を取るはずだから。

「俺が持つもう一方の弓の話は、したか?」

考えに没頭していたルイは、振り返ったアデルに慌てて顔を上げて首を振った。

その姿にアデルは苦笑を漏らすと、前を向き直し、金の瞳を細めた。
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