金色の師弟

アデルは頷くと、少し歩調を緩める。

木の根が地上へ出てきて、足に引っ掛かりやすく歩きにくいのだ。

アデル一人なら平地を歩くのと変わらぬ速さで進むだろう。

だが、掴んだ手からルイの歩調が乱れたことを感じ取り、アデルはペースを合わせるために歩を緩めた。

ルイにしてみれば、気を遣われないようにと変わらぬペースで歩いていたつもりだったが、完全に見抜かれてしまっている。

「不運にも御兄弟のお二人が亡くなり国王になられてからは弓を取り戦うということはなさらなかった。ザカルド様の武勇は全て、即位前のものだ」

珍しく饒舌なアデルからは、前王に対する純粋な敬意が伝わる。

エルクに対して向けられている好意的な敬意とは違う。

心から、尊敬しているのだ。
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