金色の師弟

ルイが見上げたアデルの横顔は、どこか晴れ晴れとしていて眩しい。

「何故、ザカルド様が黄金の弓を持たれたか、わかるか?」

アデルが微かに振り返り、ルイを見下ろす。

問われたルイは何も考えておらず、尋ねられてから慌てて頭を回転させた。

「え、えっと……」

何故、黄金の弓なのか。

金という色は言うまでもないが、目立つ。

目立つということは、狙われるということだ。

どうして自ら狙われるような真似をするのか。

答えに辿り着かずに、頭を捻っているルイを見下ろし、アデルは堪え切れずに吹き出した。

「時間切れだ」

「う…………。はい」

素直に頷いたルイの頭を、アデルは空いていた手で撫でてやる。

「味方に勇気を、敵には恐怖を。それが金色の弓の目的だ」

その言葉で、ようやくルイは納得した。

つまりは、ザカルドの金色の弓は、強さの象徴として存在していたのだ。

名が知れ渡れば知れ渡る程、その効力は強まる。

味方の士気を高め、相手の戦意を削ぐ。

ザカルドは、自分の身を晒してまでシェーダ国のために弓を引き続けたのだ。
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