金色の師弟
「俺も一度でいいからあの方と共に戦場に出てみたかったな」
アデルは少年のようにキラキラとした目で、言った。
普段から含みのある表情が多いアデルの無邪気な笑顔に、ルイは驚き見惚れてしまう。
そして、ルイは何故急にその弓の話が始まったのか、遅くなりながらも察した。
「あ……、もしかしてアデルさん……!」
「そうだ。俺はあの金色の弓を頂いた」
「……」
驚きのあまり言葉が出ないルイ。
凄い、としか言えない自分の語彙の少なさにうんざりしながら、言葉を探すが結局ルイの口から出てきた言葉は。
「凄い……です」
これしか、なかった。
シェーダ国の前王であり、弓使いとしても名高いザカルドの金の弓。
アデルは苦笑を浮かべ、空を仰いだ。
「まだ若くて未熟だった俺に、『次の金色の弓はお前だよ』と……。正直、嬉しいというより怖かった」
「アデルさんでも、怖いと思うことがあるんですか?」
ルイが尋ねれば、アデルは呆れてため息を吐いた。